【Focus on Cinema】ゲストインタビュー⑭

「BOL〜声をあげる」(パキスタン)
監督:ショエーブ・マンスール

壁をなくし、すべての人々が幸せを共有できる世界へ

独特なオーラに包まれたショエーブ・マンスール監督。「福岡観客賞」を受賞した作品と同様、話もパワフル!「今作は宗教や因習などを直接的に描きたかったわけではなく、個人の考え方の違いを描きたかった」と監督。問題提起や啓発的な意味を込め、自国パキスタン向けに製作した今作が、外国で支持されるとは想像だにしなかったそう。今作に映し出されているのは、実際に起こっているパキスタンの日常の姿だとのこと。「皆さんは、登場人物の父親をひどい人間と言いますが、あれは典型的な父親の姿なんです。実際に家族殺しのニュースは毎日のようにニュースになっているんですよ」。パキスタンには保守的で古い考えを持つ階層と、先進的な道を歩んでいる階層と、極端に2つの生活層に分かれているとのこと。未知なるパキスタンの日常描写に、細かいところまで梁木ディレクターが食いついていき、懇談はさながらパキスタン講座のように。

「今作では、圧倒的に弱者の立場である女性について描いています。でも女性よりも男性が優位という考え方は、どの世界でもあることでしょう。ただ、時代と社会の進み方が違うだけ」との一言に一同納得。しかし、作中に出てくるニュースキャスターのように、自立した女性も多いといいます。「この映画祭スタッフの女性よりも、もっとモダンな女性が街を闊歩しているよ」との一言に加えて「パキスタンの女性はすべて美しいんだ。インドの女性が嫉妬するほどにね」と自国の女性を熱烈アピール。「この映画では考え方の違いによって家族が崩壊していく様を描いていますが、言語の壁、文化の壁、宗教の壁、この3つの壁を取り払ったら、家族はもちろん、世界中の人々が幸せを共有できると思う」と熱弁をふるう監督。話は世界情勢にまで及び、すっかりマンスールワールドに引きこまれた1時間半でした。締めは「私が他国の映画祭に出展せずに、福岡のみにしぼるのは、先進国でありながら伝統を守る日本・福岡の感覚が私や自国と相性がいいからです」と嬉しい言葉。過去30年間、テレビ局でさまざまな番組を作ってきたという監督。「さすがの一言ですね」と梁木ディレクターも思わず賞賛の一言を口にしたほどでした。

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